『わが投資術 市場は誰に微笑むか』─プロの視点から学ぶ投資の極意

はじめに:清原達郎とは?
清原達郎氏は、日本の投資界で長年活躍してきた著名な投資家・運用者です。モルガン・ス
タンレー・アセット・マネジメント(MSAM)で日本株のファンドマネージャーを務めた経
験を持ち、日本の株式市場や投資手法に精通しています。
『わが投資術』は、彼が40年以上の投資経験をもとに、自らの投資哲学や手法を体系的にま
とめた一冊です。株式投資を中心に、企業分析の方法、相場の見方、長期投資の重要性など
が詳しく解説されており、初心者から上級者まで幅広い層にとって学びの多い内容となってい
ます。
本記事では、『わが投資術』の主要なポイントを整理しながら、個人的な感想や学びについて
も詳しく述べていきます。
著者:清原 達郎 出版社:講談社
「わが投資術」の概要
本書は、清原氏がどのような投資哲学を持ち、どのような手法で運用してきたかを詳細に述べたものです。大きく分けると、以下のようなテーマが扱われています。
- 長期投資の重要性
- 企業分析の方法
- マクロ経済と市場の動向を読む視点
- プロの投資家としての心得
それぞれのポイントについて、具体的に見ていきましょう。
1. 長期投資の重要性
短期投資よりも長期投資を重視
清原氏は、短期的な売買で利益を狙うのではなく、企業の成長に注目した長期投資を推奨し
ています。短期的な株価の動きに一喜一憂するのではなく、企業の本質的な価値を見極めて
投資をすることが重要だと説いています。
「複利の力」を活かす
本書では、「複利の力」が投資で成功するために欠かせない要素であることが強調されていま
す。優良企業の株を長期間保有することで、配当や再投資による資産の増加が期待できると
いう考え方です。
感想
これは、ウォーレン・バフェットの投資哲学にも通じるものがあり、やはり長期投資は王道
なのだと再認識しました。短期売買で利益を狙うこともできますが、素人が頻繁に売買を繰
り返すと手数料や税金がかさみ、結局損をしてしまうことが多いです。本書を読んで、改めて
「優良企業の成長を信じて持ち続ける」ことの大切さを感じました。
2. 企業分析の方法
バリュー投資の考え方
清原氏は、株価の動きに振り回されるのではなく、企業の本質的な価値を見極めることが重
要だと述べています。そのために、財務諸表や事業モデルを深く分析し、企業が長期的に成
長できるかを判断することが求められます。
注目すべきポイント
清原氏は、企業分析において以下のような点を重視しています。
- 財務の健全性:負債が少なく、自己資本比率が高い企業を選ぶ。
- 収益性の高さ:営業利益率やROE(自己資本利益率)をチェック。
- 競争優位性:他社には真似できない強みを持っているか。
- 経営陣の質:経営者のビジョンや実績を評価する。
感想
本書を読んで、「投資はギャンブルではなく、徹底的な分析の上に成り立つもの」ということ
を改めて実感しました。特に、清原氏が「経営者の質」にこだわっている点が印象的でし
た。財務指標だけでなく、経営者の考え方や実行力を見極めることが、成功する投資には欠
かせないのだと感じました。
3. マクロ経済と市場の動向を読む視点
経済の大きな流れを読む
清原氏は、企業分析だけでなく、マクロ経済や市場の動向を把握することも重要だと述べて
います。例えば、以下のような要因が株価に影響を与えることを理解する必要があります。
- 金利の動向:金利が上昇すると株価は下落しやすい。
- 為替の変動:円高・円安が企業業績に与える影響を考慮する。
- 景気サイクル:景気の拡大期・後退期を見極める。
感想
企業の業績だけでなく、経済全体の流れを読むことの重要性を学びました。特に金利の動向
は、株価に大きな影響を与えるので、これまで以上に意識するようになりました。
4. プロの投資家としての心得
感情に流されない
清原氏は、「市場には常にノイズ(雑音)がある」と指摘し、投資家は冷静な判断を持ち続け
ることが重要だと述べています。特に、次のような心理的な罠に注意すべきだと説いていま
す。
- 過信の罠:自分の判断を過信し、適切なリスク管理を怠る。
- 群集心理:周りが買っているからといって、何も考えずに追随する。
- 損切りの遅れ:損を認めたくない気持ちから、下落する株を持ち続ける。
感想
投資では冷静な判断が不可欠だと改めて実感しました。特に、群集心理に流されることの危
険性については、本書を読んで再認識しました。ニュースやSNSで話題になっている銘柄を
買いたくなることもありますが、冷静に企業の価値を分析することが大切だと感じました。
まとめ
『わが投資術』は、清原達郎氏の長年の経験をもとに、投資の本質を深く理解できる一冊で
す。本書を読んで学んだことをまとめると、以下のようになります。
- 長期投資の重要性を理解する。
- 企業の本質的な価値を見極める力を養う。
- マクロ経済の影響を考慮しながら投資判断をする。
- 感情に流されず、冷静な判断を心がける。
本書を読んで、改めて「投資とは知識と忍耐が試されるゲーム」なのだと感じました。短期
的な利益を求めるのではなく、じっくりと成長する企業に投資することが、最終的には大き
なリターンにつながるのだと思います。
日本ではNISAが始まりました。
投資に興味を持っている方はかなり多いと思いますし、実際に初めている方もいらっしゃる
かと思います。私自身投資を初めて8年ほどになりますが、この本は初心者の方にも分かり
やすく基本から教えてくれますし、投資経験者の方にも勉強になる内容だと思います。まだ
NISAを始めていないという方はめちゃくちゃ勉強になります。
これから投資を始める人や、すでに投資をしている人にも、ぜひ一読をおすすめしたい一冊
です。





