『嫌われる勇気』

~「他人の期待に応えない」生き方が、人生を自由にする~
はじめに
「他人にどう思われるか気になる」「人の評価を気にして自分らしく生きられない」「過去の
トラウマに縛られている気がする」──そんな思いを抱えている方にこそ読んでほしい一冊
が、岸見一郎さん・古賀史健さんの共著『嫌われる勇気』です。
本書は、オーストリアの心理学者アルフレッド・アドラーの思想をベースに、「人は変われる」
「世界はシンプルである」という視点から、生き方そのものを問い直す内容となっています。
この記事では、実際に読んで感じたことや心に残った言葉、そして日常生活にどう活かせる
のかを、分かりやすくお伝えします。
著者:岸見一郎 古賀史健 出版社:ダイヤモンド社
著者について
- 岸見一郎
哲学者であり、アドラー心理学の第一人者。ギリシア哲学とアドラー心理学の融合を試みながら、哲学的な視点から心のあり方を探求している。 - 古賀史健
フリーライターとして数々の著名な書籍の執筆に携わる。一般読者に向けて哲学や心理学を分かりやすく伝えるスタイルに定評がある。
この2人が対話形式で進める本書は、「哲人(てつじん)」と「青年」という登場人物の問答に
よって展開され、読者はまるでその場で話を聞いているかのように内容がスッと入ってきま
す。
書籍の概要
本書は、青年が「どうすれば幸せに生きられるのか?」という問いを持ち、哲人のもとを訪
れるところから始まります。
青年は世間の価値観や自分の過去にとらわれ、「人は変われない」と考えています。
それに対して、哲人は「人は今この瞬間からでも変われる」と断言。
その対話の中で、アドラー心理学のエッセンスが次々と紹介されていきます。
心に残った教えと感想
1. 「人は目的に向かって生きている」~原因論から目的論へ~
アドラー心理学の特徴のひとつが、「目的論」です。多くの人は「過去のトラウマがあるか
ら、私はこうなんだ」と考えがちです。しかしアドラーは、それを真っ向から否定します。
「人は過去によって決まるのではなく、“どうなりたいか”という目的によって今
の行動を選んでいる」
この考え方に触れたとき、私の中の「過去のせいで変われない」という思い込みが大きく揺
らぎました。
たとえば「人と関わるのが怖い」のは、「傷つかないために距離を取る」という“目的”がある
から。
つまり、怖いのではなく、“怖がることを選んでいる”のだと理解できます。
これは、人生を自分の意思でコントロールできるという意味でもあり、大きな希望でもあり
ます。
2. 「すべての悩みは対人関係の悩みである」
本書の中でも特に印象的な一文です。
「私たちの悩みのすべては、対人関係に起因している」
この一言は、シンプルながら非常に深い。
たとえば、「仕事がうまくいかない」という悩みの背景には、「上司にどう思われているか」
「同僚と比べてどうか」という対人関係が絡んでいることが多いのです。
私も、「もっと成果を出さないと」「期待に応えなければ」と常に周囲を意識していました。
しかし、「他人の期待に応えることが人生の目的ではない」と気づいたとき、驚くほど心が軽
くなったのを覚えています。
3. 課題の分離:「それは誰の問題か?」
アドラーが提唱する“課題の分離”という考え方も非常に実用的です。
「その問題は誰の課題か?他者の課題には踏み込まない」
これは、自分の課題と他人の課題を明確に分け、他人の課題に干渉しないというスタンスで
す。
たとえば、「子どもが勉強しない」「上司が機嫌を損ねる」ということは、その人自身の課題
であり、自分が責任を取るべきものではありません。
この考え方を身につけることで、過剰な責任感や罪悪感から解放され、より健全な人間関係
を築けるようになります。
4. 「承認欲求から自由になる」
「他者からの承認を求める人生は、他人に支配される人生である」
この言葉には、思わずドキリとさせられました。
誰しも他人に認められたいという気持ちはありますが、それに依存してしまうと、自分の人
生の舵を他人に握られてしまいます。
アドラーは、他人の評価に振り回されることなく、「自分がどう生きたいか」を重視すべきだ
と教えています。
つまり、“嫌われる勇気”とは、他人の期待を裏切る勇気であり、真に自由に生きる覚悟でも
あるのです。
5. 「いま、ここ」を真剣に生きる
アドラーの考えは「未来志向」でもありますが、同時に「現在志向」でもあります。
「過去がどうであれ、未来がどうなるかではなく、いま、ここをどう生きるか
がすべて」
これはマインドフルネス的な考え方にも通じます。
私たちはつい過去の失敗や未来の不安に意識を奪われがちですが、アドラーは「今を大切に
することで人生は変えられる」と説いています。
読後に感じたこと
本書を読み終えたとき、まるで長い旅を終えたような感覚がありました。
自分自身の生き方、考え方、人間関係の持ち方を、一から見直したくなるような一冊です。
特に印象に残ったのは、「自由とは、他人から嫌われる可能性を引き受けること」という視
点。これはとても勇気がいることですが、その覚悟があることで初めて、「自分の人生を生き
る」ことができるのだと感じました。
実生活への活かし方
◎ 自分の“目的”を意識する
行動を起こす前に、「私は何のためにこれをするのか?」と自分に問いかける習慣がつきまし
た。
これによって、無意識に他人の顔色をうかがっていた行動が減り、自分の軸で動けるようにな
ってきています。
◎ 他人の反応に責任を持たない
「嫌われたらどうしよう」という思考が湧いたときは、「その感情は相手の課題」と捉えるこ
とで、必要以上に気にしすぎることがなくなりました。
これは人間関係をすごく楽にしてくれる考え方です。
おすすめしたい人
- 人間関係に悩んでいる方
- 他人の目が気になって自由に生きられない方
- 自己肯定感が低く、自分に自信が持てない方
- 本当に「自分の人生」を生きたいと思っている方
終わりに
『嫌われる勇気』は、単なる自己啓発本ではなく、「どう生きるか」という本質的な問いに真
っ向から向き合った一冊です。
読むたびに新たな気づきがあり、人生のさまざまな場面で指針となる“心の地図”を与えてくれ
る存在です。
「人は変われる。そして、幸せになることができる」
この本は、そのことを静かに、でも力強く教えてくれます。
あなたも、人生をより自由に、軽やかに歩むために、“嫌われる勇気”を手にしてみませんか?





