【感想・書評】『生き方 人間として一番大切なこと』|自分を高め、心で生きる時代へ

結論:「魂を磨く」ことこそ、人生の目的である
あなたは、自分が「何のために生きているのか」と真剣に考えたことがありますか?
京セラ・KDDIの創業者であり、日本航空(JAL)の奇跡の再建を果たした伝説の経営者・稲盛和夫氏の著書『生き方 人間として一番大切なこと』は、その問いに対して明確な答えを提示してくれる一冊です。
本書を読み終えた私は、「もっと誠実に、もっと利他的に、もっと真剣に生きよう」と心の底から思いました。
人生の本質を突いた、まさに“心の教科書”です。

なぜ、今「生き方」が問われているのか?
スマホ、SNS、AI、グローバル化――
現代社会は、かつてないスピードで変化しています。
その一方で、孤独や不安、虚しさを抱える人が増えているのも事実です。
- 何を信じていいかわからない
- 目標を持てと言われても、心が動かない
- 「自分らしさ」が見えなくなっている
そんな混乱の時代において、いま改めて注目されているのが、稲盛和夫氏の『生き方』です。
本書は、単なる「成功のためのハウツー本」ではありません。
むしろ「人間として、どう生きるべきか?」という“原点”を徹底的に突き詰めた人生哲学書です。
著者・稲盛和夫とは?
稲盛氏は、戦後の日本経済を牽引してきた偉大な経営者であり、実業家であり、そして何より「哲学者」と呼ぶべき存在です。
・京セラ、KDDIの創業
・経営破綻したJALの再建
・「アメーバ経営」など独自の経営理論の確立
・「フィロソフィ経営」を通じての人材育成
これだけの実績がありながら、彼が一貫して重視していたのは「心の在り方」でした。
本書は、稲盛氏が人生を通して培ってきた思想・経験・信念が凝縮された、まさに集大成とも言える一冊です。
魂を磨く──人生の目的に立ち返る
稲盛氏は本書の冒頭で、こう述べています。
「人生の目的は、魂を磨くことにある」
著者:稲盛和夫
出版社:サンマーク出版
この一文を読んだ瞬間、私は深く胸を打たれました。
世の中には「夢を持て」「成功を目指せ」「年収を上げろ」といった言葉があふれています。
しかし、稲盛氏は真っ直ぐに「人として正しく生きること」が最も重要であると説いています。
これは決して抽象的な精神論ではありません。
- 丁寧な言葉遣い
- 感情のコントロール
- 毎日の判断における誠実さ
こうした日々の積み重ねによって「魂は磨かれる」というのです。
成功の本質は「利他の心」にある
現代社会では、「競争に勝て」「自分が得をしろ」といった自己中心的な考えが蔓延しています。
しかし、稲盛氏は一貫して「利他の心」を成功の本質として語ります。
「他人のために尽くすことが、最終的に自分を救い、人生を豊かにする」
著者:稲盛和夫
出版社:サンマーク出版
この考え方は、経営にも生き方にも貫かれています。
自分のために働くのではなく、
- お客様のために
- 仲間のために
- 社会のために
その思いが結果的に信頼を生み、運を呼び込み、成功をもたらす――まさに「与える者が受け取る」という宇宙の法則に近い感覚です。
思いは、必ず実現する
特に印象に残ったのが、次の一節です。
「強く、純粋な思いは、必ず実現する」
著者:稲盛和夫
出版社:サンマーク出版
この言葉は、努力や根性論ではなく、「意志の力」の本質を表しています。
「こうありたい」という思いが行動を生み、行動が現実を引き寄せる――
このシンプルな因果関係を、稲盛氏は人生を通して実証してきたのです。
私自身、どれだけ本気で「願ってきたか」を振り返り、「思いの純度」が低かったことに気づかされました。
働くことの意味が、180度変わる
本書を読んで大きく変わったのが、「仕事」への向き合い方です。
稲盛氏は、こう語ります。
「仕事は、魂を磨く道場である」
著者:稲盛和夫
出版社:サンマーク出版
多くの人は、仕事を「お金を稼ぐ手段」としてしか捉えていません。
しかし、本来の仕事は、人としての成長の場であり、人間力を高める“修行の場”なのです。
- 誠実に役割を果たす
- 周囲の喜びを自分の喜びとする
- 困難の中でも志を貫く
こうした姿勢で仕事に取り組むことが、自分自身を磨き、最終的には幸せに繋がると、稲盛氏は説いています。
判断基準は「動機善なりや、私心なかりしか」
稲盛氏の名言の中でも、特に印象的なのがこの言葉です。
「動機善なりや、私心なかりしか」
著者:稲盛和夫
出版社:サンマーク出版
何かを決断するとき、
- その動機は善意から来ているか?
- 自分の欲や打算が入り込んでいないか?
この2つの問いを立てることで、私たちは「正しい判断」を下すことができます。
仕事、家庭、人間関係――あらゆる場面で、この言葉はコンパスのように私たちの心を導いてくれます。
読後の変化:実生活に落とし込める“教え”
この本の素晴らしい点は、読んで終わりではなく、すぐに「実践」できることです。
私自身、以下のような変化を実感しています。
- 朝、出勤する前に「今日は誰のために働こう」と考えるようになった
- 迷ったときに「私心はないか?」と内省する癖がついた
- 効率ばかりを求めず、「丁寧に取り組むこと」に価値を感じるようになった
本書は、“読んで終わり”の自己啓発本ではありません。
“読んで行動が変わる”人生の指南書なのです。

まとめ:「生き方」を変えれば、人生は必ず変わる
『生き方』は、人生のステージに関係なく、誰にでも響く普遍的なメッセージに満ちています。
- 将来に不安を抱えている若者
- 仕事に疲れ、やりがいを見失っている社会人
- 人生の方向を見直したい中高年層
どの立場であっても、「もっとよく生きたい」と願うすべての人に必要な一冊です。
この本は、「心の姿勢」が人生を決めることを教えてくれます。
今日からできる3つの実践アクション
- 「利他」を意識して行動してみる
- 仕事を“魂を磨く場”として捉える
- 判断に迷ったら「動機善なりや、私心なかりしか?」と自問する
たったこれだけで、毎日の過ごし方が変わります。
そして、あなたの未来も確実に変わっていきます。
📚書籍情報
- 書名:生き方 人間として一番大切なこと
- 著者:稲盛和夫
- 出版社:サンマーク出版
今を生きる人にとって必ず必要で大切なことが書かれています。ぜひあなたも読んでみてください。
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