『自分を知る練習』不安の霧が晴れていく――やさしくて、深い「自己分析の魔法」

「なんだかモヤモヤしているけど、理由がわからない」
「頑張っているのに、なぜか満たされない」
「本当の自分って、何だろう……」
このような漠然とした不安を抱えている人は、今の時代とても多いのではないでしょうか。
情報過多で、忙しくて、誰かと比べては落ち込む毎日。
そんな中、自分自身としっかり向き合う時間を持つことは、想像以上に難しいことです。
そんなときに出会ったのが、土谷愛さんの著書『自分を知る練習 人生から不安が消える魔法
の自己分析』でした。
タイトルにある「魔法の自己分析」という言葉に、最初は少し半信半疑でしたが、読み進め
るうちに、「ああ、これは本当に“魔法”かもしれない」と思えるほど、心が軽くなっていく感
覚がありました。
本書は、自分の気持ちや価値観、考え方のクセを丁寧に探ることで、「自分軸」で生きられる
ようになるための実践書です。
小難しい理論ではなく、著者自身の経験や、カウンセラーとしての具体的な事例を通して、
「自分を知る」ことの大切さとその方法を、優しく教えてくれます。
■1. 「不安」は、自分を知らないサインだった
本書の最初で、土谷さんは「不安とは、自分を知らないことで生まれる」と語ります。
私たちは「将来が不安」「人間関係が不安」「仕事が不安」とさまざまな形で不安を感じます
が、その多くは「自分が何を望んでいるか」「自分は何を大切にしたいのか」が明確になって
いないことが原因だというのです。
この指摘は、非常に納得感がありました。
というのも、私自身がまさに「なんとなく不安」な状態にありながら、実はその理由を深く
考えたことがなかったからです。
土谷さんは、「不安を消すことよりも、まず不安を“理解”することが大切」と繰り返します。
自己分析を通して、不安の正体を明らかにすることができれば、それだけで心は落ち着いて
くる。
それはまるで、暗闇にランプを灯すような感覚です。
■2. 「自分を知る」って、こういうことだったのか!
本書の魅力は、なんといっても「自己分析のハードルがとても低い」ことです。
心理学の専門書にありがちな難解な用語や理論はほとんどなく、「ノートとペンさえあれば今
すぐできる」シンプルなワークが満載です。
たとえば、以下のような質問が紹介されています。
- 最近、イライラしたことは? なぜそう感じたのか?
- 子どもの頃に「これだけは嫌だった」と思ったことは?
- 最近、人から褒められてうれしかったことは? それは自分のどんな価値観に関わっている?
こうした問いを自分に向けて書き出していくことで、「あ、私ってこういうことが嫌いなん
だ」「こんなふうに認められたいと思っていたんだ」と、少しずつ自分の輪郭が浮かび上がっ
てくるのです。
とくに感銘を受けたのが、「今の自分を否定しなくていい」というメッセージ。
自己分析と聞くと、つい「自分のダメなところを見つけて反省する」というイメージを持って
いましたが、本書では「気づくだけでOK」「変えようとしなくても大丈夫」と繰り返されま
す。
このスタンスが、読む人の心をそっとほぐしてくれるのです。
■3. 自己肯定感が上がる、というより“戻ってくる”感覚
土谷さんの語り口には、強さとやさしさが同居しています。
それはきっと、彼女自身がかつて「自分を見失い、つらかった時期」を経験してきたからこ
その言葉なのだと思います。
本書の中でも、著者自身の「完璧主義」「自分責め」「他人軸での生き方」などが率直に語ら
れています。
だからこそ、読者としては「この人の言うことなら信じられる」と感じるのです。
読んでいくうちに、自分を責めるクセが少しずつ和らぎ、「そのままの自分でいいんだ」「自
分を知るって、こんなに安心することだったんだ」と、静かな安心感に包まれていきます。
とくに印象的だったのが、「自己肯定感は“作る”ものではなく、“戻る”もの」という考え方。
私たちは元々、自分を好きでいられる存在だったはず。
それが社会の中で失われてしまっただけ。
だから、自己分析とは「自分を取り戻す旅」なんだと気づかされます。
■4. 人間関係も、仕事も、生き方も変わっていく
本書の自己分析ワークを続けていくと、不思議なほどに日常の景色が変わってきます。
- 他人の意見に振り回されなくなる
- 自分の「嫌なこと」「無理なこと」に素直になれる
- 無理に人に合わせず、疲れなくなる
- 「これが私の生き方なんだ」と自信を持てるようになる
実際に私も、「なぜこの仕事がつらいのか」「なぜこの人といると疲れるのか」という点が明
確になり、それにどう対処すればよいかのヒントが見えてきました。
これは単なる気持ちの問題ではなく、日々の行動が確実に変わっていく実感があります。
しかも、それは無理をするのではなく、「自然と変わっていく」感じ。
それこそが、この本が“魔法の自己分析”と呼ばれる所以なのかもしれません。
■5. 読後の感想:「自分を知る」ことは、自分を好きになる第一歩
『自分を知る練習』を読み終えて最も感じたことは、「自分に優しくなると、世界も優しくな
る」ということです。
他人の目や評価ではなく、「私はこう考える」「私はこう感じる」という軸ができると、不思
議なほど人間関係がスムーズになり、未来に対する不安も軽くなります。
それは決して「自分を甘やかす」ことではなく、「自分を信頼する」こと。
本書は、そんなふうに生きていくための、あたたかい羅針盤のような存在です。
■まとめ:すべての「迷っている人」に読んでほしい、やさしい人生ガイド
『自分を知る練習』は、忙しくて、自分のことを後回しにしてきたすべての人に読んでほしい
一冊です。
自己分析と聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、土谷さんの言葉はまるで親しい友人
のように、あなたに語りかけてくれます。
- なんとなく不安を抱えている人
- 自分に自信が持てない人
- 他人の期待に応えることに疲れてしまった人
- もっと「自分らしく」生きたいと願っている人
そんな人にこそ、この本は「人生の転機」となるかもしれません。
「自分を知る」ことは、自分を好きになるための最初の一歩。
そして、それは人生を大きく変えていく力を持っています。
📚 参考文献:
書籍:『自分を知る練習 人生から不安が消える魔法の自己分析』
著者:土谷愛
出版社:青春出版社





