『記憶脳』覚える力は、鍛えられる!――記憶に自信がないすべての人へ贈る「脳の取扱説明書」

「どうしてこんなに物忘れが激しいんだろう」 「昨日覚えたことを、今日にはもう忘れてい
る……」 「試験勉強しても、まるで頭に入らない」
そんな悩みを抱えたことがある人は多いのではないでしょうか。
私自身、年々記憶力の衰えを感じることが増え、「もっと効率よく覚える方法はないのか」と
ずっと模索してきました。
そんなときに出会ったのが、精神科医・樺沢紫苑先生の著書『記憶脳』です。
本書は、記憶力を飛躍的にアップさせるための方法を、「科学的根拠(エビデンス)」に基づ
いて、やさしく、実践的に解説してくれます。
単なるテクニック本ではなく、「なぜその方法が効くのか」という背景を理解できることで、
納得しながら進められるのが最大の魅力です。
今回は、この『記憶脳』の感想を、以下の3つの切り口でご紹介します。
■1. 「記憶の仕組み」を知れば、覚えることは簡単になる
『記憶脳』を読み始めてまず感じたのは、「自分がいかに記憶の仕組みを知らずに、むやみに
覚えようとしていたか」ということです。
本書の冒頭では、記憶のプロセスを大きく3つに分けて説明しています。
- 記銘(入力):覚えるために情報を脳に入れる段階
- 保持(保存):情報を脳にとどめておく段階
- 想起(出力):必要なときに思い出す段階
この3ステップを理解することで、「記憶力=暗記力」ではなく、「覚えたことを思い出せる
力」であるという考え方に気づかされます。
樺沢氏は、「覚えることはインプットではなく、アウトプットが重要だ」と繰り返し強調しま
す。
これが本書全体のキーメッセージであり、非常に納得感がありました。
■2. 科学的に証明された「記憶力アップ習慣」がすぐに使える
本書の中心となるのが、記憶力を飛躍的に向上させる「7つの生活習慣」と「12の記憶テク
ニック」です。そのどれもが、日常生活の中で無理なく取り入れられるものばかりです。
たとえば、「運動」は記憶力向上に非常に効果的であることが、数多くの研究で証明されてい
ます。
樺沢氏は「有酸素運動を週に3回、30分程度するだけでも、記憶を司る海馬の機能が向上す
る」と述べています。
私は読後すぐに、朝の軽いウォーキングを始めました。
また、「睡眠」と「復習」の重要性も何度も繰り返されます。
- 睡眠中に記憶は整理され、脳に定着する
- 復習は「24時間以内」「1週間以内」「1か月以内」の3段階で行うと効果的
このように、本書では「タイミング」と「仕組み」に基づいた方法論が数多く登場し、ただ
の精神論ではなく、「誰でもできる再現可能な方法」として提示されています。
■3. 記憶力は才能じゃない。脳は、変えられる!
最も心に響いたのは、「記憶力は生まれつきの才能ではなく、鍛えることで高められる」とい
うメッセージです。
特に印象的だったのは、記憶を「筋トレ」に例えた章です。
筋肉と同じで、使えば使うほど記憶力は強くなる。そして、正しいやり方で「鍛え続ける」
ことが大事なのです。
具体的な例として紹介されていたのが、「アウトプット習慣」です。
樺沢氏は、記憶したい内容を声に出して説明したり、ノートに書いたり、人に話すことで、
記憶が何倍にも強固になると述べています。
私も試しに、読書後に簡単な「3行要約」をノートに書くようにしてみたところ、驚くほど内
容を覚えられるようになりました。
やってみると簡単なのに、これまで「覚えた気になっていた」ことが多かったと痛感しまし
た。
■樺沢流・記憶メソッドの魅力:ストレスを減らし、人生の質を上げる
記憶と聞くと「勉強」や「仕事」に直結するイメージがありますが、本書を読むと、「記憶力
が上がることで、人生そのものがラクになる」ということに気づかされます。
- 人の名前をすぐに思い出せる
- 会話の中で前に聞いた内容を自然に織り交ぜられる
- 忘れ物やうっかりミスが減る
こうした「小さな成功体験」が積み重なることで、自信がつき、ストレスが減り、コミュニ
ケーション能力も高まると樺沢氏は言います。
まさに「記憶力=生きる力」だと実感しました。
■読後の実践:私が始めた3つのこと
読み終えたあと、私はさっそく以下の3つの習慣を取り入れました。
- 毎朝のウォーキング(20分):運動によって脳を活性化
- 読んだ本の「3行要約」メモ:アウトプットで記憶を定着
- 就寝前の簡単な復習(5分):記憶を寝ている間に固める
たったこれだけでも、以前よりも「あれ、どこに置いたっけ?」「なんて言ってたっけ?」と
いう場面が減ったと実感しています。
つまり、「記憶力を鍛えることは、生活の質を上げること」だと、日々の中で確信し始めてい
ます。
■まとめ:記憶が変われば、人生が変わる――迷ったらまず読むべき一冊
『記憶脳』は、単なる自己啓発書や脳科学本ではなく、「記憶力を高めることで、より豊か
に、より自信を持って生きるための実用書」です。
医師としての知識と、作家としての表現力を兼ね備えた樺沢紫苑氏だからこそ書けた、まさに
「読む脳トレ本」といっても過言ではありません。
勉強中の学生はもちろん、仕事で情報を大量に扱う社会人、記憶力に不安を感じ始めた中高
年、すべての人におすすめできる一冊です。
「記憶力に自信がない」なんて、もう言わせません。
📖 参考文献:『記憶脳』
著者:樺沢紫苑
出版社:サンマーク出版





