【感想・書評】『自分を知る練習』|「自分軸」で生きられるようになる、魔法の自己分析とは?

結論:自分を知ることは、自分を好きになる“最初の一歩”だった
『自分を知る練習 人生から不安が消える魔法の自己分析』(土谷愛さん・著)は、「自分のことがわからない」「なんとなく不安」「本当の自分が見えない」…そんな漠然とした悩みに寄り添いながら、優しく導いてくれる一冊です。
本書を読み進めていくうちに、私の中にあった「満たされない感覚」「もやもやした不安」が、少しずつ言葉になり、理解できるようになっていきました。
それはまさに、「自分を知る」こと。
そしてそれは、「自分を好きになる第一歩」でもありました。

不安の正体は、“自分を知らない”ことだった
本書の冒頭で語られるのは、「不安とは、自分自身がわからないことから生まれる感情である」という事実。
私たちは日々、「仕事がうまくいかない」「人間関係がしんどい」「将来が見えない」と、さまざまな不安を抱えています。
けれどその多くは、「自分が何を望んでいて、何を嫌い、どう生きたいのか」という“自分自身”が明確になっていないからこそ、曖昧で漠然とした不安として残り続けているのです。
実際、私自身も「なんとなく不安」な状態が続いていました。
でも、その理由を深く考えたことはなかった。
本書を通して「不安は消すものではなく、理解するもの」という視点を持てたことは、大きな収穫でした。
自己分析は難しくない。「ノートとペン」で心が見えてくる
本書の素晴らしさは、自己分析の“ハードルの低さ”にあります。
心理学の専門用語はほとんど登場せず、代わりに紹介されているのは、すぐに実践できる優しい問いかけ。
たとえばこんな質問です。
- 最近、イライラしたことは? それはなぜ?
- 子どもの頃、絶対に嫌だったことは?
- 嬉しかった言葉は? それはどんな価値観に触れた?
こういった問いをノートに書き出していくだけで、「ああ、自分はこういう時に疲れるんだ」「こんなことで満たされるんだ」と、自分の輪郭が見えてくる。
とくに印象的だったのが、「今の自分を否定しなくていい」という著者のメッセージ。
自己分析というと、自分のダメなところを見つけて反省するイメージがありますよね。
でも本書では、「ただ気づくだけでいい」「無理に変えようとしなくても大丈夫」と、何度も優しく繰り返されます。
このスタンスが、気持ちが前向きになりどんどん自分を知ろうと思えるのです。
自己肯定感は「取り戻す」ものだった
自己分析をしていく中で、私がもっとも印象に残ったのが「自己肯定感は“作る”ものではなく、“戻ってくる”もの」という考え方です。
私たちは本来、自分のことを好きでいられる存在だったはず。
でも、成長する中で他人と比べたり、評価に振り回されたりするうちに、少しずつその感覚を忘れてしまった。
自己分析は、「忘れていた自分に再会するプロセス」。
土谷さんはそれを、実体験とともに丁寧に描いてくれています。
とくに著者自身が語る「完璧主義」や「自分責め」「他人軸での生き方」のエピソードは、読者の共感を呼びます。
「こんなふうに悩んでいた人が、ここまで優しくなれたんだ」
そう思うと、自然と自分の心が前向きになり元の自分に戻ることができます。
自分軸が育つと、世界がやさしくなる
本書を読み終え、自己分析を実践してみると、日常の中でいくつかの“変化”が起こりました。
- 他人に合わせすぎて疲れることが減った
- 嫌なことに「嫌」と言えるようになった
- 人間関係で無理をしなくなった
- 「これが自分の道だ」と信じられるようになった
この変化は、「努力して変わった」というより、「自然と変わっていった」という方が近い感覚です。
それは、自分の“本音”が明確になったから。
だからこそ、他人に振り回されず、自分のペースで生きていけるようになる。
この「自分軸」が育つことこそが、不安や迷いから抜け出す一番の近道なのかもしれません。
この本は、心の“羅針盤”になる
『自分を知る練習』は、派手さはありません。
でも、読み終えたあとにゆっくりと自分自身を取り戻せる一冊です。
慌ただしい日常の中で、「今、どこに向かっているのか」「自分は本当は何を求めているのか」をそっと教えてくれるのです。
こんな人に読んでほしい
- 「なんとなく不安」な日々に悩んでいる人
- 自分に自信が持てない人
- 他人の期待に応えすぎて疲れている人
- 「自分らしく」生きたいと願っている人
この本が、そんな方々の人生にとって、小さな“転機”になるかもしれません。

まとめ:自分を知ることは、人生を整えること
『自分を知る練習』は、「自己分析なんて難しそう」と感じていた私の固定観念を、やさしく壊してくれた一冊でした。
自分の心を観察し、言葉にする。
それだけで、不安がやわらぎ、自分への信頼が生まれてくる。
自己分析とは、自分を責めるためのものではなく、「自分を信じて生きるための準備」なのだと、今なら胸を張って言えます。
迷っている方にこそ、ぜひ手に取ってほしい一冊です。
📘 書籍情報
- 書名:『自分を知る練習 人生から不安が消える魔法の自己分析』
- 著者:土谷愛
- 出版社:青春出版社
📚 関連記事(合わせて読みたい)
1. 『嫌われる勇気』の記事へ
「他人の期待に応えすぎて疲れてしまう…」そんなあなたにおすすめなのが『嫌われる勇気』。アドラー心理学が教えてくれる“自分らしさ”の見つけ方も、あわせてどうぞ。
2. 『「怠惰」なんて存在しない』の記事へ
「どうして自分は動けないんだろう…」と責めてしまう人に読んでほしいのが『「怠惰」なんて存在しない』。社会に埋もれた本当の自分を、やさしく取り戻せる一冊です。
3. 『継続する技術』の記事へ
自分の行動パターンを見直し、習慣づくりをしたいなら『継続する技術』もおすすめ。
自己理解と習慣化をつなぐ“科学的アプローチ”が学べます。
4. 『記憶脳』の記事へ
「もっと記憶力を上げたい」「集中力を高めたい」と感じている方には、『記憶脳』がぴったり。自分の脳タイプを知ることも、自己理解への近道です。
5. 『スタンフォード式インプット術』の記事へ
「どうすれば学びが定着するのか?」と悩む人には『スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長が教える 脳が一生忘れないインプット術』。
効率的な学習と自己成長のヒントが詰まっています。





