【書評・感想】『投資で一番大切な20の教え』ハワード・マークス──相場の本質を突く「深い思考力」とは?

結論
『投資で一番大切な20の教え』は、表面的なテクニックではなく、“投資家としてどう考えるか”という本質を教えてくれる名著です。
ハワード・マークスの哲学に触れることで、市場のノイズに惑わされず、長期的に勝ち続けるための「深い思考力」が身につきます。
特に「セカンドレベル思考」や「リスクの本質」に関する洞察は、投資初心者から上級者まで全ての投資家にとって不可欠な教訓です。
感情に流されず、冷静に、そして謙虚に。これが本書から得られる“最も重要なこと”です。
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はじめに:投資の“常識”を疑え
「なぜ同じように投資しても、結果が大きく変わるのか?」
この疑問に対する明確な答えを与えてくれるのが、伝説の投資家ハワード・マークス氏による『投資で一番大切な20の教え』です。
本書は、投資の基本的なテクニックや小手先のノウハウではなく、「賢い投資家になるための思考の型」に焦点を当てた名著。
ウォーレン・バフェットも絶賛したことで知られ、世界中の投資家に読み継がれています。
この記事では、実際に本書を読んで心に響いたポイントや、投資初心者にも役立つ“20の教え”からの学びを具体的にご紹介します。
ハワード・マークスとは?信頼の裏付け
ハワード・マークス氏は、資産運用会社「オークツリー・キャピタル・マネジメント」の共同創業者であり、債券投資の第一人者として知られています。
彼の投資スタイルは、一言で言えば「深く考える投資」。
群衆心理に流されず、冷静で論理的な視点を持つことを何よりも大切にしています。
本書の魅力:20の教えは“哲学”である
本書の原題は『The Most Important Thing』──日本語版では「20の教え」となっていますが、著者はどれか一つが最重要ではないと強調しています。
それぞれが独立した教訓でありながら、相互に補完し合う“投資哲学の体系”として読み取ることができます。
たとえば、以下のような教えがあります:
- リスクを見極める力
- 心理的バイアスから距離を取る
- マーケットに対する謙虚さ
- セカンドレベル思考(二段階思考)
それぞれの項目が、投資の表面的な知識を超えて、本質に近づくヒントを与えてくれます。
特に心に残った教え【1】セカンドレベル思考とは何か?
投資家の大半が一次思考、つまり「良いニュース=株が上がる」と考える中、マークスは二次思考=“他の投資家はどう考えているか”を考える視点を強調します。
これは、競馬で例えるなら「最も速い馬」ではなく「他の人が選ばないが、勝つ確率が高い馬」に賭けるような思考です。
✔️ 一般人:「良い決算だから買おう」
✔️ セカンドレベル思考:「良い決算だが、すでに株価に織り込まれているのでは?」
この違いが、投資リターンの差となって表れるのです。
特に心に残った教え【2】リスクは目に見えない
多くの人が「リスク=ボラティリティ」と考えがちですが、マークスはそうではないと断言します。
リスクとは、結果が期待通りにならない“可能性”のこと。
著者:ハワード・マークス(訳:貫井佳子)
出版社:日本経済新聞出版社
つまり、「下落したからリスクがある」のではなく、「期待値と実態のギャップ」こそがリスクなのです。
この視点を得てから、私は株価が急落しても「これはリスクか、それとも一時的な不安か?」と冷静に分析する癖がつきました。
特に心に残った教え【3】マーケットを予測するな、サイクルを読め
マークスは、「マーケットの未来を予測しようとするのはナンセンス」と述べています。
その代わりに重要なのは、「サイクルのどの段階にいるかを見極める力」。
たとえば:
- 楽観が支配しているとき → 警戒する
- 悲観が広がっているとき → 積極的に買う
これにより、タイミングの精度は低くても、“サイクルを俯瞰する投資”が可能になるのです。
本書を読んで得た3つの気づき
① 投資とは「考える競技」である
マークスの主張は、「知識より思考力」。
投資の勝敗は、情報の早さよりも“どのように考えるか”で決まるという視点が新鮮でした。
② 成功者ほど「謙虚」である
「自分の予想は当たらない」「未来は読めない」それでもリターンを出す。
それがマークスの凄さです。
慢心せず、常に警戒心を持つ姿勢に、真のプロフェッショナルを感じました。
③ ノイズに振り回されない「芯」ができる
SNSやニュースが情報で溢れる時代だからこそ、本書のように“投資の芯”を与えてくれる書籍の価値は大きいと感じます。
こんな人におすすめ!
✅ 投資歴が浅く、何を信じて行動すればいいかわからない人
✅ 短期的な情報やチャートに振り回されてしまう人
✅ 長期で資産形成したいが、冷静な判断軸が欲しい人
✅ バフェットやグレアムの本を読んで、さらに深めたいと感じた人
まとめ:投資の“本質”に立ち返るための一冊
『投資で一番大切な20の教え』は、テクニカルな知識に頼るのではなく、“投資家としてどうあるべきか”を問う本です。
地味で派手さはないけれど、読むたびに味わいが深まり、何度も立ち返りたくなる。そんな“投資の羅針盤”のような存在になることでしょう。
投資で成功したいと願うすべての人に、強くおすすめしたい一冊です。
関連書籍リンク
タイトル:『投資で一番大切な20の教え 賢い投資家になるための隠れた常識』
著者:ハワード・マークス(訳:貫井佳子)
出版社:日本経済新聞出版社





